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概要

Medetta! Vol.27 WINTER 2019

山梨のロースターLE KOPPIが入っており、7時からのモーニング、ランチ、喫茶の時間にはコーヒーとお菓子をオーダー可能。甲府市中心街、岡島百貨店を越えて進んだ城東通り沿いにある、ジビエと季節の野菜料理が楽しめる古民家レストラン。趣き深い店内には冬晴れの陽がそっと差し込み、あたたかい雰囲気に満ち溢れる。魚や野菜、旬のものはおいしい。しかし、旬のものはおいしいだけではなく、食べることにそれぞれ意味があるという。「春には苦味を盛れ」というのは、山菜や野草で、冬に溜まった老廃物を出し、夏は水分や酸味の多いものを取って体の熱を逃がす。秋は栄養価の高いキノコや青魚の良質な脂を取って冬に備える。冬は厳しい寒さに耐えられるよう、身体をあたためてくれる根菜や鹿や猪の肉を食べ、エネルギーを蓄える。このような先人たちの食の知恵を店主の斉木かおりさんは受け継ぎ、料理の腕をふるう。斉木さんは、四季折々に表情が変わる野山の自然の豊かさに魅せられた。趣味の山が高じて、狩猟免許を取得。冬季のオープンシーズンになると師匠である親方、狩猟仲間たちと山へ入るそうだ。山梨に限ったことではないが、鹿や猪の数が増えると近隣に住む人への獣害が増えてしまう。そうなると駆除対象の鹿や猪は人の手によってただ殺されてしまうことになる。そういった面でもジビエをおいしく食べることは命の有効活用にもつながる。厳しい品質条件をクリアした良質なジビエには免疫力のアップ、体温の向上を促す効果が期待できる。自然を駆け、たくましく育った鹿・猪肉は高タンパクな上、家畜のように人工的な手が加わっていないのでアレルギーの心配も極めて少ないという。そして生産者に大切に育てられた野菜を、ふんだんに使った総菜が定食を彩る。ワイルドで、繊細。料理を作る斉木さんの人柄が反映された丁寧な料理の数々は絶品。たっぷり野菜のお味噌汁をすすれば、どこか懐かしくほっとする味わいが口に広がる。「寒い冬が終わり、草木が一斉に芽吹き始め春を喜ぶように咲く山を“山笑う” というんです」と斉木さんは微笑む。俳句の春の季語でもある言葉だ。巡る季節の中、山々に育まれた貴重な食材に感謝して、いただきます。なんだか身体が喜んでいる気がする。ヤマワラウname古民家レストラン06concept★ ★ ★ K o f u c i t yM E D E T T A I S S U E66