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概要

Medetta! Vol.27 WINTER 2019

湯の花が浮かぶ琥珀色のモール泉(植物由来の有機物が溶け込んでいる温泉)が贅沢に掛け流し。台風19 号の影響で雨足が強まっていた。予報では次の日に迫る台風通過のことを懸念しながら、近所の人、常連の人たちが次々にやってくる。「明日は営業する? 」、「営業するけど早く締めるかな」「何時まで? 日曜日は? 」「日曜日は朝からやるよ」といった具合のやりとりが行われている。それを見ていると、長年通う人たちにとって必要不可欠で、地域に大切にされている温泉銭湯なのだと分かる。創業は昭和29 年。当時は温泉ではなく、釜で湯を沸かしていたという。その後、重油に燃料を切り替えたが、燃料費は割高。そこで温泉を掘ることに。ボーリングの末に湧いた温泉は、その泉質の良さに惚れ込み、全国の温泉好きが足繁く通うほど。3 つの湯船は違う温度の温泉が引かれ、一番熱いお湯が45℃くらい。このお湯が隣の適温(38℃~ 40℃)の源泉が掛け流されている湯船にオーバーフローする仕組み。湯船の底の側面には穴があけられている。上から熱いお湯が流れ込み、低い温度のお湯は湯船の下から隣の湯船へ。温度の違う源泉がまんべんなくブレンドされることで、湯温を調節。こうして地域の人から温泉マニアまで幅広く愛される新遊亀温泉の“お湯” になるというわけ。女将の渡辺梅香さんいわく、ここに湧く温泉はまろやかな美肌の湯。浸かったあとでは化粧ノリが格段に違うそう。わざわざ自宅での洗顔用にボトルで源泉を汲んで持って帰る人もいるとか。最近は若い人も増え、このお湯に浸かるために大阪や東京など遠方から通う人も多い。ちなみに、名前の由来は甲府で100 年の歴史を誇る動物園、遊亀公園の近くだから。温泉を掘ったときに“新”を付けたんだって。新遊亀温泉name温泉/銭湯04concept★ ★ ★ K o f u c i t yM E D E T T A I S S U E62