ブックタイトルMedetta! Vol.27 WINTER 2019
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Medetta! Vol.27 WINTER 2019
5 ~ 6年ほど前までは近所の人が利用することが多かったが、ここ数年で客層は多様になったと理恵子さんは話してくれた。昭和元年創業の歴史の長い温泉銭湯。戦前、戦後、激動の時代をくぐり抜け、未だこんこんと湧きつづける温泉で人々を至福の時間へと誘う。かの文豪・太宰治は新婚時代に甲府に住んでいたというのは有名な話だが、実際、この喜久乃湯温泉に通っていたという。午後3 時頃まで執筆して、夕方まで温泉に浸かり、帰って酒を呑む、というのが太宰のルーティンだったといわれている。昭和41年に建て直されてから、現在に至る。番台を備えた、e 銭湯な佇まい。3 代目となる平賀忠臣さんは、妻の理恵子さんとともに銭湯を切り盛りする。かつて喜久乃湯には1 日1000 人程が訪れたという。このように公衆浴場は人々が集い憩う場所だった。周辺のお店に営業をかけて広告看板を掲示し、当時は広告塔として機能していた。その看板が今でも脱衣所に掲げられ、訪れる人々を出迎えてくれる。最近は、温泉、サウナが若者を中心にブームということもあり、ネットで情報を見つけて他県からやってくる人もいる。他にも山梨を訪れる海外からの観光客、県内外から来た登山客やランナーが練習したのち、汗を流しにそのままやってくることも。手ぶらでも有料でタオル、石鹸、シャンプーなど洗面用具が借りられるのでお手軽。タイル張りの浴場はたっぷりのお湯が溢れ、ビビッドなイエローのケロリン桶が積まれている。4 種類の湯温の湯船がある。ジェットバスや超音波湯、奧にはサウナも完備。ドライサウナで気持ち良く汗をかいたら、28°C の源泉水風呂でまったり。430 円という価格で、存分に身体と心が整えられる。また+500 円で48 畳の大広間で休憩が可能。出前も取れるし、食べ物・飲み物持ち込み可能。弾き語りや朗読会などのイベント、無尽やパーティなどにも利用できる。冬はコタツも設置される。柔らかなお湯はゆっくりと浸かるのにちょうどいい。近所からやってきたであろう親子連れの家族の風景を眺めながら、歴史の息遣いとともに浸かる温泉は優しく味わい深い。喜久乃湯温泉name温泉/銭湯03concept★ ★ ★ K o f u c i t yM E D E T T A I S S U E60