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概要

Medetta! Vol.25 Summer 2019

愛は胃袋を通ってやってくる004インパクトのある店名は、ヨーロッパのことわざが由来となっている。かつて宿場町の人馬、流通の拠点を兼ね備えていた問屋場の屋敷を一部改装したレストラン。佐久甲州街道の宿場として賑わった「長澤宿」に現存する築170 年の古民家は圧巻だ。100 坪あるうちの1 / 5 が店舗スペース、ほかはイベントなどで開放して使用している。Terroirとは、ワインの味を表現する際に用いる「その土地らしさ」を意味する言葉。愛と胃袋で提供される料理も、八ヶ岳の風土に育まれた食材の味を存分に表現した品々が並ぶ。土地の食にはこだわりつつも、地にとらわれすぎない食材選びに配慮しているという。アミューズにはシェフ自らが山に入って採取した山菜や、パンには「パンに恋するふきみそ」と名付けられた特製のふきみそを添えて。その名の通りパンとの相性は抜群。料理を載せる器にも“地のもの”にこだわる。八ヶ岳近郊の作家によって焼かれた器にシェフ渾身の料理が載り、愛と胃袋の表現するTerroir は完成する。もともと問屋場の馬小屋だったという客席からは庭が見渡せ、そよぐ風が気持ちいい。珍しい紅白の梅の木や丘の上に見える桜はピンクから新緑へと変わり、野の花たちが色づき、山々の緑が春から初夏へその移り変わりを教えてくれる。愛は胃袋を通ってやってくる。名前もロケーションもとことんロマンチックである。Terroir 愛と胃袋 69